このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
「自我」と「自己」の区別 青山俊薫(愛知専門尼僧堂堂頭)
1.お釈迦様の仏法というのは天地宇宙の真理ですから、そこを真っすぐに見つめていきなさいというのが道元禅師の根本の教えです。例えば、道元禅師は「自我」と「自己」とを分けて考えられました。「自我」というのは凡夫ぼんぷの私、ウジウジと悩んでいるのは、この小さな私を中心とした「自我」です。
2.しかし、そんな悩んでいる私も天地の総力を挙げての働きの真っ只中に抱かれている。しゃべることも、手を回すことも、心臓が動くこともすべてこの働きからのいただきものです。その働きに、生かされている私が「自己」です。小さなどうにもならない「自我」を、その宇宙の働き、そのものの「自己」の真っ只中に投げ込んでいきなさいと道元禅師は教えられた。
(参考:「致知」:2021年6月号)