耳より情報2021年10月 No.101

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

日本企業はファンドの「カモ」に

1.投資銀行が今日、事業売却や買収のための営業文句として最も頻繁に使う用語は、環境・社会・企業統治に配慮した投資を意味する概念である「ESG」だという。「このノンコア事業は切り出しましょう」などと言えば経営陣に気を悪くされるのがオチだ。「ESGの流れに逆行するような事業ポートフォリオは切り出しましょう、脱炭素化を考えてこの事業は売却しましょう」と言い換えれば、この時代、大企業は耳を傾けざるを得ない。
2.このように、上場企業が切り出すESGに背く事業の買い手となることをプライベート・エクイティ(PE)ファンドは虎視眈々と狙っている。少し前までは、日本企業も反ESG事業の便利な「買い手」として数えられていた。しかもM&Aがへたくそな日本企業に海外企業が高値で事業を売りつけようとしていたのだ。ただ、日本企業も機関投資家やメディアから脱炭素化への取り組みなどESG化への突き上げを食らうようになり、今後は買い手よりは売り手に回りそうだ。3.この流れを更に加速させるのが、ESGアクティビスト(物言う株主)の台頭だ。従来のアクティビストは、自社株買いや増配といった株主還元や、不採算事業の売却・非上場化の検討など財務戦略に絡む伝統的な提案を行ってきた。これに対し、製造業企業の原料調達で再生可能エネルギーの使用や人権抑圧に関わる供給元の遮断などを要求し、企業にESGへの配慮の強化を迫るのが新手のESGアクティビストだ。

(参考:「選択」2021年8月号)

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