このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
困難の中に運がある 永守重信(日本電産会長)
1.21年8月に買収した赤字続きの三菱重工工作機械(現日本電産マシンツール)は、買収2カ月目で黒字化した。当たり前のことを当たり前にやっているだけだ。ある大企業は経営不振でも部長はグリーン車で出張し、タクシーチケットを毎月3冊もらっていた。まずそこを切らないといけない。日本電産はリーマンショック到来時にまだ数百億円の利益を上げていたが、上場企業で最初に賃金をカットした。そして、真っ先に利益を回復させ、賃金カット分を後から利息を付けて従業員に返した。
2.「運が7割」が持論だが、この話をすると「人生は運」という人が出るが、7割の運に近づくのに絶壁がある。死ぬほど働かないと運はこない。逆に3割ものすごく努力すればチャンスが次々くる。だから困難に近づかないといけない。困難の中に運がある。世の中はいいことと悪いことが差し引きゼロだ。私のように波瀾万丈な人生は、ものすごくいいこともあれば、死ぬほど苦しいこともある。
3.毎日困難がある。次の売り上げ100兆円を目指すが、コロナ禍など問題はやってくる。ただ「足元悲観、将来楽観」と明るい先があると思ってやらないといけない。私が京都先端科学大学を運営するようになったのは、10年先の人材を自ら育てていきたいと思ったからだ。人間としての総合的な知性と感性の豊かさをしめすEQ(感情指数)を高める教育を目指している。心の豊かさや人間力は勉強以外のことをやらないと身に付かない。
(参考:「週刊東洋経済」2021年12月25日・2022年1月10日号)