耳より情報2022年4月 No.189

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

21世紀に重要視されるスキルは、新しいことを学ぶスキル 數土文夫(JFEホールディングス名誉顧問)

1.21世紀に入って、人々のごく身近に喫緊の2つの課題が出現していると思います。1つは、私たちの生活の糧(かて)を得る手段、仕事・職業の寿命がどんどん短くなっていることです。情報技術(IT)、人工知能(AI)、ロボット、これらを総合したデジタルトランスフォーメーション(DX=ITによる変革)があらゆる職域、社会システムに入ってきて、人の働き方に大変革をもたらしつつあり、その加速度を増していることです。
2.いま1つは、人の寿命が80年を超え、人生100年という感覚が普通になりつつあることです。20世紀後半までは、人は定年後、10年から15年くらいがせいぜいと考えてきました。100年もの人生を与えられた私たちは、生涯をどう楽しく働き、健全に生きたらよいのでしょう。
3.古来「国家百年の計」という言葉があります。国の興隆を実現するための遠大な国策のことです。しかし、人の寿命百年が現実味を帯びて目前に迫ってきたいま、「国家百年の計」と「人生百年、終身の計」が重なってきます。これはかつてない出来事であり、国と企業、個人が共通して認識すべきです。
4.現代経営学の祖にして、未来学者とも呼ばれたピーター・ドラッカー(1909〜2005年)は、20世紀末に近未来の21世紀を予測して次のように言っています。「21世紀に重要視される唯一のスキルは、新しいことを学ぶスキルである。それ以外はすべて時間と共に廃(すた)れていく」。慧眼(けいがん)だと思います、いま私たちが携(たずさ)わっている仕事、業務は10〜20年後には消滅している確率は非常に高く、この言葉には納得させられます。

(参考:「致知」2022年4月号)

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