このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
円安は賃下げと同じ、日本の地位は低下する 野口悠紀雄(一橋大学名誉教授)
1.円安は日本経済の体力を消耗させ、日本を衰退させる。賃金が上昇しないままで、家計はこれから物価高に直面することになる。上がったとしても実質賃金が上昇するほどには上がらないだろう。だから、家計は貧しくなる。第1次石油ショック時のトイレットペーパーの買い占めの再来があり得る。企業は、輸入物価の上昇分を簡単には転嫁できないため、企業業績が悪化する。
2.円安は国際的に見た賃金水準の切り下げだから、1人当たりGDPや賃金が伸びないまま、世界経済における日本の地位が低下する。賃金が安くても日本の物価は安いからいいではないかという人もいる。だが、このままでは、介護を受けたくてもそのための人材がいないという事態になる。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2022年2月5日号)