耳より情報2022年5月 No.217

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

日本のものづくりは解体の危機(その2、円安で製造業復活せず、今後は資源高の恐怖)寺島実郎(日本総合研究所会長)

1.日本に一番欠けているのは総合エンジニアリング力だ。日本の問題は、素材や部材、部品など個別技術のよさに酔いしれること。「下町ロケット」に涙し、「部材、部品では日本は負けない」という話で満足している。その間に埋没してしまう。大事なのはそれらの要素技術を体系化し、戦略的に統合して1つの完成体をつくることだ。そのために総合エンジニアリング力を身につける必要がある。
2.日本の産業界は今、背伸びをして「ITやDXの時代だ」と興奮しているが、同じ愚行を繰り返してはいけない。イノベーションも取り組むべきだが、まずはファンダメンタルズ(広辞苑:一国の経済状態や通貨価値を判断する基礎的指標。成長率・インフレ率・失業率・経常収支など)を固めるべきだ。例えば食と農。日本の食料自給率は37%しかない。世界人口が爆発的に増える以上、日本が人口減であっても食の安定に問題意識を持つべきだ。生産、加工、流通、調理といった食にまつわる各工程を高付加価値化できれば、日本の産業力を大いに刺激できる。
3.アベノミクスで金融をジャブジャブにして円安にすれば日本の製造業はよみがえる、という政策が間違いだった。これからは恐怖の円安になる。このままでは日本は再び敗戦を迎えることになる。

(参考:「週刊東洋経済」2022年3月26日号)

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