耳より情報2022年7月 No.237

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

山下俊彦(松下電器「現パナソニック」、3代目社長)の経営哲学(その1) 梅沢正邦(ジャーナリスト、元「週刊東洋経済」副編集長、論説委員長)

1.山下俊彦は、45年前の1977年、下から2番目のヒラ取締役からいきなり松下電器(現在のパナソニック)の社長に就任した。松下幸之助による大抜擢だった。山下は工業高校卒で松下家とは縁もゆかりもない。世間は「22段跳び」と大騒ぎしたが、あれから半世紀近い時間が流れている。今、なぜ、山下俊彦なのか。山下の経営哲学が、現在の衰弱し切った日本経済と企業社会を立て直す「原点」を指し示していると思えるからだ。
2.日本が今の体たらくになった最初のつまずきは、80年代後半のバブルだった。山下はバブルの直前の86年に社長を退任している。退任の辞で言った。「ほろびゆくものの最大の原因はおごりです」。山下には見えていたのです。「ジャパン・アズナンバーワン」と持てはやされ、日本の地価で米国が2つ買えたバブル。経営者たちの頭のネジが弾け飛んでしまった。おごり高ぶり・慢心、自己満足し、内向きになる。世界市場とライバルをまともに見ようとしなくなった。
3.山下は言っていた。「ほろびゆくものの最大の原因はおごりです。活力のある企業は栄え、活力を失った企業は衰える。一度守りの姿勢になった企業は衰退の一途を辿るのみ」。山下の予言通りになってしまった。

(参考:「Wedge」2022年6月号)

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