このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
同族経営でもめない絶対条件とは(「虎屋」に感銘) ローレン・コーエン(ハーバードビジネススクール教授)
1.22 年4 月にエグゼクティブ講座「ファミリーオフィス・ウェルスマネジメント」で虎屋の事例を教えましたが、とても好評でした。特に虎屋の18 代当主、黒川光晴氏との質疑応答です。受講者は皆、光晴氏が「500 年企業の18 代当主である」という事実に驚嘆し、次から次へと質問していました。
2.私が特に感銘を受けたのは光博氏(17 代当主)とのインタビューです。生涯をかけて築き上げたものを次世代の後継者に譲る。その結果、自分が選んだ後継者が自分と異なる決断をして会社を変えていこうとする。 こうした状況を目の当たりにしながら、口を出さないでいるのはとても難しいことです。 3.私はこれまでさまざまなファミリービジネスを研究する中で、先代が再び経営者に返り咲こうとしたり、敵対的な買収を仕掛けて現経営者を追い出そうとしたりした事例をたくさん見てきました。新しい経営者の就任後、決まってもめ事になるのは、前任者の介入です。それほど、創業家出身の経営者が潔く引退するのは難しいことなのです。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2022 年 7 月 30 日号)