このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
日本の技術力の有望な分野 佐藤 一郎(国立情報学研究所教授)
1.日本のICT(情報通信技術)は20 年間で世界に水をあけられた。企業がICT設備への大型投資をためらい、ハードウェア面での差がついた。 ソフトウェアでは企業が製品・サービスの差別化要素と捉えられず、伸びなかった。ICT業界は多重下請けの構造で、イノベーションを誘発する体制がなかったことも挙げられるだろう。 2.それでも世界で稼ぐ技術を磨ける可能性はまだあると考えている。期待されるのは「法や制度」そのものの輸出だ。例えば、健康診断による検査と早期治療に大きな市場があったからだ。このため、健康診断制度を輸出できれば、関連した技術やサービスの舞台は海外で広がる。「母子手帳」制度も輸出できれば、日本の新生児・乳幼児向けの産業が世界で活躍できる。
(参考:「日経ビジネス」2022 年 7 月 18 日号)