このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
トヨタの強み「現地現物」の力が衰えている
１．現在のトヨタはいくつかの問題を抱えているように見えます。直接の原因はそれぞれ異なるのでしょうが、「現地現物」の力が衰えていることが背景にあるように思えます。例えば、昨年からの生産目標の度重なる修正。短期間に生産計画を何度も変えるのは、情報収集能力が落ちているか、情報の伝達過程に目詰まりがあったように思います。
２．トヨタの強みは、現場で起きていることを把握し、情報を素早く上げ、的確に判断する現地現物の力です。 それが落ちています。トヨタ社内、周辺も含めて、風通しが悪くなっているように感じます、そうした事態を招いている原因の一端に、豊田社長の強すぎるリーダーシップがあるように見えます。
３．強いリーダーシップ自体は、悪くありません。反面、トップの力が強大になればなるほど、下は意見を言いにくくなる。忖度（そんたく）がはびこり、不都合な情報は上がらなくなる。古今東西どの組織にもいえることです。今のトヨタは、言葉を発しなくても、空気感が独り歩きする状況になっています。
（参考：「週刊東洋経済」2022 年 8 月 6 日号）