耳より情報2023年4月 No.380

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

貿易赤字国として定着する 佐々木融(JPモルガン・チェース銀行市場調査本部長)

1.日本の2022 年通年の貿易収支は20 兆円の赤字と、金額としては過去最大の赤字額を記録した。対GDPでは3%台半ばとなる見通しで、これは1957 年以来65 年ぶりの水準となる。年間輸入総額は118 兆円と初めて100兆円を超えた。前年比39%増は79 年に記録した同45%に次ぐ数値だ。輸入の対名目GDP比は20%を超える見通し。データをさかのぼれる50 年代後半以降でこれほどの水準に高まったことはない。

2.これだけ大幅な赤字の増加を相手国別に見ると、中東諸国とオーストラリアに対する貿易赤字の増加が目立つ。今や貿易赤字の47%はオーストラリアだ。23 年の日本は内需が強い一方、外需が弱くなるため、貿易赤字が昨年より増加する可能性があると予想する。日本はかつての貿易黒字国の面影はなくなり、貿易赤字国として定着することになりそうだ。

(参考:「週刊東洋経済」2023 年2 月18 日号)

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