このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
生き残るためのヒント(雑草の戦略=負けない軸) 稲垣 栄洋(静岡大学教授)
1.植物の世界ではナンバーワンしか生き残れないため、「どこで勝負するか」が重要だ。その戦略を考える上で3 つの要素がある。「CSR戦略」と呼ぶものだ。C(競合型)は巨木など「強い植物」に典型的な戦略。Sはサボテンのように、乾燥や日照不足などのストレスに耐性を持つ。Rは予測不能な変化(撹乱=かくらん)に適応していく力で、雑草が一例だ。
2.ナンバーワンになるためには一番大事なのは「かぶらないこと」。絶滅を避けるため、そもそも競争が起きないように勝負する場所を「ずらす」のだ。相手と少し違う戦略を取れば、自分がナンバーワンになれる。そこはオンリーワンの場所でもあり、生物学で言う「ニッチ」そのものだ。
3.雑草の戦略で重要な点は「負けない」という軸。次の世代に種を残す目的がしっかりしており、その大切な要素を見失っていない。だからこそ雑草はどんな環境下でも自由自在に姿形を変えられる。企業においても、社訓や独自技術、コアコンピタンス(中心的な競争力の源泉)の軸をぶらさず展開していくことは同じように重要だ。
(参考:「日経ビジネス」2023 年8 月14 日号)