このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
ドイツ企業が「特許巧者」である3 つの理由 ホルガー・エルンスト(独WHUオットー・バイスハイム経営大学院教授)
1.特許や特許分析の積極的かつ戦略的な活用は今後、世界中の企業で重要になると確信している。欧州の場合、特許情報の経営への導入が進んでいるのがドイツだ。それには3 つの理由がある。まず、ドイツには技術に基づくイノベーションの伝統があり、優秀な発明者への報酬はしっかりしている。
2.次に、化学などの産業で特許の文書化と分析に長い伝統があることがある。BASFやメルクなどの企業はコンピューターやビックデータを活用した特許分析のメリットに早い段階で気付いた。そのため、それまでの特許をめぐる活動の効果も大幅に向上させることができた。化学産業での特許分析が軌道に乗ると、他の産業でも特許の戦略的な活用が進んだ。
3.そして最後が、知財分野における新しいタイプのリーダーの出現だ。BASFの元知財部長ウドー・メイヤー氏やシーメンスの知財部長であるビアド・バイベル氏など、新しいアプローチを積極的に受け入れ、トップマネジメントに近い立場から新しい知財部門をつくっていった。また将来的には「ChatGPTなどの人工知能(AI)は、企業が特許データを使用・分析する方法を大きく変え、改善していくだろう。
(参考:「日経ビジネス」2023 年7 月17 日号)