耳より情報2023年12月 No.519

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

労働災害の死傷者の増加が続く 太田 聰一(慶応大学経済学部教授) 

1.労働災害の死傷者が増加を続けている。昨年は13 万人強を記録し、5 年前に比べて10%近く増えた。今年に入ってからもその勢いは衰えていない。理由の1 つは、働く高齢者の増加により職場で転倒災害に遭う人が増えたことだ。転倒は第3 次産業を含む広い業種で発生しており、従来は労災が少なかった業種でも目立つようになっています。 

2.転倒というと軽傷の印象があるが、とくに高齢者では大きなダメージを伴うことが多い。実際、転倒災害による休業日数は平均で47 日に達し、骨折や、場合によっては寝たきり状態に陥るリスクもある。ある事例研究は、高齢者の作業員は「疲れ」や「焦り」によって転倒しやすくなるとしている。であれば、職場において高齢者従業員の疲労を蓄積しにくくする配慮が必要となる。 

3.より難しいのは焦りへの対応だ。焦りが生じると、注意力が低下し、小走りによる転倒のリスクも高まる。そうした状況は、労働者が作業の遅れを取り戻そうとしたり、顧客対応に追われたりしているときに生じがちだ。余裕を持って仕事をする雰囲気が醸成されれば、焦りによる転倒は減らしやすい。以前よりも少し「ゆっくり働くこと」への理解が社会に求められている。

(参考:週刊東洋経済」2023 年10 月14 日号)

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