このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
日本の生産性の低さの五つの要因 小林俊介(みずほ証券チーフエコノミスト)
1.日本の生産性は長らく伸び悩んできた。その背景として指摘されるのが旧態依然とした日本の商慣行や規制の存在、先見性ある産業政策の不在などだ。その要因を確認しよう。
2.背景から推察すると、①度重なる金融危機を経て生産性が高い金融・保険業などへの労働力移動が進展せず、同時に②勃興(ぼっこう)時の情報通信業へ十分な投資資金が投入されなかったこと、③アジア諸国を中心とした貿易市場の競争激化で製造業の生産性改善が鈍ったこと、④原発事故の影響を受けて電気・ガス産業で生産性が低下したこと、⑤規制業種でもある保健衛生産業において生産性が低下したこと。これらの五つの要因が、日本の成長を抑制したと振り返ることができる。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2023 年10 月21 日号)