1.創業経営者にとって、自らこの世に生み出した企業はいとおしい。だから経営者の立場にしがみつき老害となる。分別ある社外取締役(社外取)がそれを戒める。これが、一般的に想起されるガバナンスの構図だ。しかし、経営者ではなく社外取こそが企業変革を阻害する事例が少なくないのだ。
2.万能で責任感のある社外取は経営者との対決を恐れない。問題なのは官庁・政府系機関の出身者や個人事業的な士業(弁護士、公認会計士など)の人物だ。退職後の名誉職のつもりでいたり副業感覚丸出しであったりする。こうした社外取は経営者におもねる。社外取の能力が十分かといえば必ずしもそうではない。だからこそ保身に走るのだ。粗製濫造された社外取に企業再編のカギを握らせるのは、企業にとってもこの国にとっても損失ではないだろうか。
(参考:「週刊東洋経済」2024 年3 月16 日号)