物価上昇の理由  早川英男(東京財団政策研究所主席研究員) 

1.日本の物価上昇のきっかけが世界インフレにあったことは明らかだ。もう一つ重要な変化は賃金が上がり始めたことだ。さらに、長年「円高恐怖症」を患ってきた日本に円安基調が定着したことの影響も軽視できない。ここには、①かつて貿易黒字大国だった日本が今では貿易赤字基調に変化した、②デジタル関連のサービス収支赤字が急拡大しているため、インバウンド(訪日外国人旅行客)復活にもかかわらずサービス収支がなかなか改善しない、③所得収支の増加で経常黒字は続いているが、海外現地法人の収益は日本に環流しないため、為替相場には影響しにくい、といった国際収支構造の変化が影響している。 

2.このように考えてみると、日本でもついに物価が上がり始めた背景には、一つの歴史的偶然(コロナ後の世界インフレ)と二つの構造の変化(人手不足時代の到来と円安基調の定着)がある。

(参考:「週刊東洋経済」2024 年11 月2 日・9 日号) 

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