No.735 イノベーションの機会は誰にでも訪れる 井上 達彦(早稲田大学商学学術院教授) 

1.大企業におけるイノベーションと起業家精神への関心は高まるばかりである。人は、自分が持っている知識や情報と照らし合わせてチャンスを認識するものである。持っている知識や情報が違うわけだから、同じ出来事を見ても、そこに事業機会を見いだせる人と見いだせない人がいてもおかしくない。 

2.人がもともと保有している知識や情報には個人差がある。例えば、「ある財やサービスが特定の地域だと安く調達できる」「この生産方式を使えばものすごく効率的になる」といったものである。いずれも、特定の場所や仕事にひもづいていたりして、そこに居合わせなければ知りえないような情報だ。そういった情報を事前に持っているからこそ、きづくことができるチャンスがある。 

3.そうだとすると、これは心的特性の問題ではない。生まれながらの気質や才能が起業家精神に不可欠だということにはならない。むしろ、ユニークな経験を通じて知識や情報を得て、それを照らし合わせることで得られる気づきこそがたいせつでる。「生まれながらの起業家」という幻想は捨てよう。ちょっと特別な情報を持っていて、違う世界に足を運べば、イノベーションのきっかけをつかめるかもしれない。

(参考:「週刊東洋経済」2024 年12 月14 日号) 

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