No.739 世界に光をもたらす日本の精神    横田南嶺(臨済宗円覚寺派管長)22 

1.なかなか厳しい現実ではございますが、ここから立ち上がっていくためにも、私たちが失ってはならない日本のよさというものがあると思います。それは、儒教や仏教、禅の教えを、日本独自に融合させた日本精神という言うべきものです。日本人というのはそんなふうに、異なる思想、異なる宗教を融合させて学ぶ力を持っていたと思います。 

2.世界は異なる宗教、あるいは同じ宗教の中でも考えが違う者同士が戦争を起こしております。ところが日本では、元々神道が根づいておったところに仏教が入ってきても、奈良時代にお互いに排斥することはせずに上手に融和しました。しかもおどろくべきことに、神社とお寺は一つになって、二つの異なる思想のものを同じようにお祀(まつ)りしてまいりました。 

3.異なるものを融和させ、日本独自のものとしてつくり上げていく。平たい言葉で言えば「和」ということになりますが、この日本の精神というのは、いまの戦争が止まない時代に素晴らしい光をもたらすと思います。森信三先生が「2050年、列強は日本の底力を認めざるを得なくなる」とおっしゃったのは、まさにそこではないかと思いますし、日本が一番取り戻すべきものであろうと思います。

(参考:「致知」2025 年2 月号) 

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