
1.人間は斯(か)くあるべしという、人格者としての終着点を心身両面から示しているのが、五経の一つ『礼記』であります。その中に「虞帝には及ぶべからざるのみ」があります。名君として名高い堯帝(ぎょうてい)の次の帝王に舜帝(しゅんてい)がおりますが、虞帝とはその舜のことです。この名言は孔子の言葉です。「今後どの様な名君が出たとしても、舜帝には及ぶことができないだろう」。
2.孔子という聖人が、これほどまでに高い評価を与える舜のリーダーシップとは、一体どの様なものであったか。幸いにその詳細が語られています。「天下の名君として、その生き方は無私を貫いていた。そして死しても、わが子に利を厚くしなかった」。
3.まず最も重大なリーダーの在り方として、「生き方」そして「死に方」が上げられています。考えてみれば、これが治政にとってどれほど重要なことなのかに気付かされます。
(参考:「致知」2025 年3 月号)