
1.非財務情報の開示をめぐる動きとして、今や、経営戦略をステークホルダーに説明するのは当然のこととなりつつある。ただ本来、戦略というのは機密性の高いものである。肝心なところは公にせず、着々と準備を進めているほうが優位に立てるはずだ。国家戦略にしても軍事戦略にしても、そうしているに違いない。
2.ステークホルダーは、利害関係を共にする企業の認識や知恵や工夫を、競争相手にも広く知らしめてほしいと本当に思うだろうか。結局、策略に関わる肝心な情報は公開していないのかもしれない。開示してもよい部分とそうでない部分を切り分け、期待を持たせるストーリーだけを語っている可能性は十分ある。
3,そうだとすれば、ステークホルダーにしても競争相手にしても「公開された戦略」から「本当の戦略」を推理する必要がある。手に入りうる手がかりから見えない部分までを推し量り、行間を読み解きながら推理しなければならない。
(参考:「週刊東洋経済」2025 年2 月15 日号)