
1, 今回生じたフジ・メデイア・ホールディングスの問題で感じることは、日本の取締役会は経営をチェックする能力がない、ということです。経営のプロではない。先ずは、最低でも取締役の過半を社外にする。日枝氏が相談役でありながら取締役メンバーとして残っているなんておかしいです。一般論にはなりますが、弁護士や会計士や大学の先生を入れる。日本企業の取締役会は経営を監視する能力が足りていない。フジテレビの問題を見ていると、日本企業が抱えている経営課題の縮図のように見えます。
2, (人権侵害に関わる)重大事案があったのに、取締役会の議論にすらかけられていないのは、不思議でなりません。米ファンドのダルトンからも、問題の真相究明を求められているというのに。海外だったら100%株主訴訟を起こされます。それに取締役は善管注意義務違反になりかねない。罪に問われるわけです。
3.41年以上も日枝氏を権力の中枢に置くことを許したのは、株主の責任であって、取締役連中の責任ではない。業績が悪くなった15年程前に、日枝氏を取締役の座から降ろしておかなければならなかったのです。ただし、「物言わぬ株主」である東宝や文化放送といった政策保有株主が取締役メンバーに名を連ねていたから監視機能が働かなかったともいえます。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2025 年2 月22 日号)