
1. ビジネスの根幹は、人をどうモチベートするか、ということです。会社を形成する人々が集団として満足しなければならない。しかも人々が目的意識を持ち、一人一人の潜在的な能力を全面的に発揮できなければならない。ビジネスにおける倫理的な価値というのは、社会人であり、個人として自己実現を求めている人々が集まって会社をつくっている点に根差している。
2. 人を扱うことをビジネススクールでは教えない。おカネは国境を超えて動くようになってくる。その風潮が日本に来て、製造業で10 年も苦労してモノを作るより、クルッとおカネを回したら簡単にもうかる。味を占めると、設備拡張に投資すべきものを、回してもうけようとする。それは非常に危険で、マネーゲームに走ることになる。日本経済全体が不健全になってきているという実感は、強く持っていた。
3. おカネをもうかれば何をやってもいいというのでは、創立の精神に反する。設立趣意書を井深さんが45 年に書きましたが、「利益に走らず」と明記してある。私たちはそれを守っていくんだという精神を持っていました。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2025 年4 月19 日号)