
1, 企業スキャンダルや組織的失敗の背景には、「何かがおかしい」と分かりつつ、リーダーに懸念を表明しなかったチームメンバーの存在がある。欧州金融大手クレディ・スイス・グループは2021 年、米アルケゴス・キャピタル・マネジメントの債務不履行によって約55 億ドル(約7900 億円)の損失を被った。その原因を探った調査員は、「リーダーへの異議を文化的に嫌がること」が失敗の一因だと指摘している。
2, リーダーが部下から建設的な発言を引き出すために必要な具体的行動をあげてみよう。リーダーが犯しやすい失敗の一つは漠然とした質問だ。「どう思うか?」「何か意見はあるか?」などの問いかけは、一見オープンかつ魅力的に映るかも知れないが、反対意見を引き出す可能性は51%だった。
3, 重要なのはリーダーが異議の正当性を具体的に認めることだ。例えば、漠然と「ありがとう」と述べる代わりに、「それは正しい懸念だね」もしくは「その視点は考えていなかった」などの発言で応答した場合、87%の確率で追加の異議的な発言が続いた。建設的な異議を述べやすくする文化の醸成には、細心の注意と継続的な努力が必要だ。
(参考:「日経ビジネス」2025 年4 月28 日・5 月5 日号)