
1. 経済産業省は2023 年8 月に「企業買収における行動指針」を公表した。企業価値を高め、株主の利益になるM&A(合併・買収)の活発化を目指したものだ。ただし同意なきM&Aについては、買収する側・買収される側、どちらの立場にしても抵抗感が強いようだ。双方の文化の違いや経営陣の意地などが障壁となり、なかなか増えない。だがそれでいいのだろうか。文化が類似する企業同士の合併は、統合作業はスムーズかもしれない。だが、そこから何か新しいものが生まれるとは思えない。
2,多様性が重要な昨今、異なる企業文化の融合にこそ価値があるのではないか。統合に際し文化の違いを「克服すべきハードル」と否定的に捉えるのは正しくない。「新しい価値を生む源泉」と前向きに捉えるべきだ。世界の大企業はM&Aによって成長を加速してきた。もちろん企業文化の衝突はある。それはあって当たり前という前提である。
(参考:「週刊東洋経済」2025 年5 月31 日号)