
1.創業者は別ですが、普通は14 年半も社長を続けていたら通用しなくなります。現場のことが分からなくなってしまうからです。上場会社の社長とか役員になる人材は知識のレベルが高い。それでも判断を間違える時があります。これは偏った情報だけで判断してから起こるものです。
2.私は社長に就任してから、学研ホールディングス(HD)がうまくいかなかった過去の経営判断について、当時の役員たちに話を聞きにいきました。その際、私も同じ情報しか持っていなかったら同じ判断をしただろうと思いました。これは情報量の差で能力の差ではありません。出版事業では製紙会社や印刷会社、取次会社、書店、教室事業では教室の先生や生徒からどういう声が出ているのか、経営陣まで伝わっていないケースがたくさんありました。
3,会議で報告されたことと、現場の意見が実は真逆だということはよくあります。私は今はおとなしくなったので「そうだよね」と聞いてはいるものの、心中では「本当かな」と疑うようにしています。
(参考:「日経ビジネス」2025 年6 月23 日号)