
1. 未開の地を拓くというように、拓くというと、人はその対象を外に向けがちだが、安岡正篤師は「一番の辺境(低開発地)は、実は自己なのではないか」といっている。自己という人間の辺境を拓くには人己(じんこ)、己を尽くすことが最も大事だと安岡師はいう。「(人己こそ)人間の実生活に最も大事である。自己というものをごまかさず、いい加減にしておかず、十分解明して啓発することである」。
2.さらにいう。「自己を棚に上げたイデオロギーやスローガンほど空虚なものはない。自己を修める修行をし、いかに自ら尽くすかを知って、初めて真実である。これによって自己は能(よ)く自ら立つ一隅だけでも照らすことができる。あらゆる暗黒のに、この一灯を挑(かか)げることが、この世に生きる人々に為し得るもっとも肝要事である」。
3.尽己こそ、自己の辺境を拓き進むことにつながる。私たちも己を尽くすことで自らの辺境を拓き進め、一灯を挑げる人生を全うしたい。
(参考:「致知」2026 年1 月号)