No.936 「無用の用」(老荘思想が教えるもの)   境野勝悟(東洋思想家) 

 

1.ノーベル化学賞を受賞した京都大学の北川進先生が新聞記事の中で、教え子にいつも伝えている言葉として、2500年前に説かれた老荘思想の「無用の用」を挙げていました。北川先生は「無用の用」を通じて、一見役に立たなそうなものが重要な役割を担っていることを学生にいつも伝えていたそうです。まさに古典を現代の化学に生かしています。実際、先生がノーベル賞を受賞した研究は、誰もがどこにでもあると思っている空気(気体)をテーマにしたものです。 

2.坐禅も鼻から出入りする無の呼吸に学んでいくものですが、思えば呼吸は、人が生まれてから今日まで休むことなく自分の命を支えてくれている。私たちが話したり、歩いたり、ものを食べたりできるのも、全部呼吸。働きなんかなんにもないと思っている「無」の空気の力なのです。しかも呼吸する無の力はお釈迦様でも達磨様も全く同じ。東洋思想の古典が持つ力を改めて実感しました。

 (参考:「致知」2025 年11 月1 日・8 日号) 

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