
1.事を成す人と成せない人がいる。おもしろいのは成す人が必ずしも完全ではなく、また才能がこれほどまでという人でも、大成しない例は多々あることだ。歴史を見てもその通り。徳川家康は部下に出奔(しゅっぽん)され、裏切られた過去がある。一方、その部下が帰参したいと申し出た際には、素直に許す度量もあった。長短ある部下たちが、家康の長所に寄り添い、彼にも認められる欠点を補ったからこそ、天下の帰趨(きすう)は家康に決したのではないだろうか。
2.大切なのは、上に立つ者も下に仕える者も、欠けたる人だという事実。個々を見れば資質、能力とも、課題は山とあろう。しかしながら、互いの不足を理解しつつ、補い合えば、成果は向上、組織は強くなる。もはや上の者だけが導くのでもなく、下の者が支えるのでもない。
3.チームワークのいい集団は、きっといい空気が流れていることだろう。欠けたる人同士が寄り合い、美しいハーモニーを奏(かな)でる。その姿を見たいし、実現したい。日本中の欠けたる人がそんな現実を待っている。必ずできると思いながら。
(参考:「PHP」2026 年3 月号)