No.951 AI の出現で再び産業資本主義の悪夢    岩井克人(東京大学名誉教授) 

 

1. 私の資本主義論とは、商人資本主義、産業資本主義、ポスト産業資本主義と移り変わる中で、差異が利潤を生む基本原理は変わらないというものだ。私はこのポスト産業資本主義に希望を抱いた。人間の時代が戻ってくるのではないか、と。知的な創造性を持った人間しか差異を生み出すことはできないからだ。 

2. 産業資本主義ではお金を持つものが圧倒的に優位であった。お金さえあれば工場を建てられる。自分で建てなくても、工場の株式を買えばいい。だから株主主権が唱えられた。ところがポスト産業資本主義では差異を生み出す能力や教育のある人間が優位性を回復してくれると私は考えた。 

3. お金それ自体は力を持たなくなり、人間が力を取り戻すと楽観していたところに、NO を突きつけたのが生成AI の登場だ。生成AI が差異をつくりだせるからだ。製薬やゲーム設計、定理の証明まで始めている。そしてAI はコンピューターモデル。モノだから、お金で買えてしまう。産業資本主義の時以上に、お金を投入すれば勝つ時代になったかもしれない。  

(参考:「週刊東洋経済」2025 年12 月20 日号) 

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