このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
なぜ働くのか、それは国内外に事業を残すため 永守重信(日本電産会長)
1.最近では株式市場でも大きな企業が上場するケースをあまり耳にしなくなりました。売り上げ10億円くらいで上場して、小銭を稼いで万歳を叫んでいる経営者があまりにも多すぎる。アメリカでは大きな企業が次々に育っていることを考えると、日本企業がこれから本当に世界を相手に闘たたかえるのか、実に危うい気がしています。
2.上場企業に限らず、若い経営者には小さな業績ですぐに満足している人が多いですね。より高い山に登ろうと思ったら、絶対に苦しみを避けては通れません。その苦しみを引き受けて味わって、人生を送りたいと決意する若い世代の出現を待ちたいところです。
3.私はもっとお金を儲けようとは思わないし、車にも乗らない。ぜいたくなものを口にすれば体に悪い。住む家は一軒あったらそれで十分です。それで朝から晩までなぜそんなに働くかといえば、事業を残そうと思うからです。NHK大河ドラマの渋沢栄一にしても、金儲けに生きたのではなく、事業を生み出してきたわけでしょう。渋沢は相場師ではなく事業家なんです。私もまた国内外に事業を残し、人々の働く場所をつくって、国にたくさんの税金を納めて経済を好循環させていくことのできる事業家でありたいし、そういう事業家をこれから育てていきたいと思っています。
(参考:「致知」2021年4月号)