耳より情報2022年2月No.169

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

起きてない好循環の理由

1.「円安は日本経済の好循環を生まない」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)と従来の定説を真っ向から覆す見方まで出始めている。なぜ好循環は起きないのか。一因は「日本が輸出立国から投資立国へ変化した」(丸紅経済研究所の今村卓所長)こととされる。戦後の日本は、石油を安く手に入れ、部品の製造から最終製品の組み立てを国内で完結した。海外での販売価格は円安で押し下げられ、「輸出立国」の勝ちパターンとなった。
2.しかし、11年ごろに貿易黒字が減り始める。日本企業は1980年代、円高や貿易摩擦を背景に生産拠点を海外に設け始めた。海外で得た利益は円換算で膨らんだが、日本への還元が進まなかった。海外子会社などが稼いだ「直接投資収益」の半分近くは、地元での再投資に回っている。
3.2つ目の要因は、日本の過剰な「企業努力」だ。利益を増やすため、価格を極力抑えて、販売数量の増大を狙う戦略は円安との相性がいい。コストを抑えるために、従業員の賃金は増やさない。逆に賃金を上げて優秀な人材を獲得し、高くても売れるものをつくれば、円の価値が高まって円高になる。賃金をコストとみるか、投資とみるか、多くの日本企業は前者(コスト)を選んだ。従業員と痛みを分かち合い、コストと賃金を抑える雑巾絞り体質を根付かせてしまった。

(参考:「日経ビジネス」2021年12月20日号)

>NPO法人マザーズドリームでは、いつでも寄付を受け付けています

NPO法人マザーズドリームでは、いつでも寄付を受け付けています

NPO法人マザーズドリームの活動にご協力ください。