このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
非財務情報の開示度合いが企業を左右する
1.1月3日、米IT大手アップルの時価総額が3兆ドル(約340兆円)の大台を突破した。アップルの時価総額のうち、株主資本(株主が払い込んだお金と、これまでの利益の蓄積。総資産と総負債の差額)で説明できる部分はわずか2%しかない。残りの98%、320兆円以上の価値は決算書類のどこにも載っていないのだ。近年、時価総額のうち株主資本以外の部分は「非財務資本」(時価総額のうち、株主資本以外の部分。企業が将来稼ぐお金への期待を反映している)と呼ばれるようになっている。
2.つまり非財務資本とは、過去の業績に代わって将来生み出す収益を説明する要素と言い換えることもできる。投資家が過去の業績に代わって収益予測に活用しているのは、例えば動画配信サービスを利用する顧客の数や新薬のパイプラインなど、決算書類に載っていない「非財務情報」だ。非財務情報の開示度合いが企業の生死を左右する時代がすぐそこまで来ている。
(参考:「週刊東洋経済」2022年1月22日号)