耳より情報2022年6月 No.221

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

もう一つの花王を起業する 長谷部佳宏(花王社長)

1.予測不可能な事態が次々と発生する世界で、どうすれば勝ち残れるか。日用品国内最大手の花王は、危機の最中にあえて業務転換に挑む。異物を排除して得意分野に集中するだけでは、イノベーションは生まれない。「もう一つの花王を起業する」。この壮大な目標に向かって、腕利きの研究者や各事業部門のエースら約100人が新規事業分野に取り組んでいる。プロジェクト名は「Anotherkao(アナザー花王)」。構想の発案者は2012年の1月に就任した長谷部佳宏社長である。
2.花王の創業は1887年、せっけんに始まり、ヘアケアやボディーケア、食器用洗剤やおむつなど、「日用品」を主力に135年の歴史を紡いできた。だが長谷部氏は「今の事業だけではいずれ頭打ちになる」と危機感を抱く。「アナザー花王で目指すのは過去とは違うビジネスモデルの構築だ。新しいエンジンが将来のために必要だ」。こうした思いから、メディカル(治療・診断)領域への参入を目指す。
3.長谷部氏はこう信じる。「イノベーションは混沌とした時代にこそ生まれる。まだ力があるときに現状を覆(くつ)がえす次のビジネスモデルを立ち上げて大きく乗り移る。これこそ経営が一番やるべきことだ」。2025〜30年に向けて「もう一つ花王」を完成させると誓う。


(参考:「日経ビジネス」2022年3月28日号)

>NPO法人マザーズドリームでは、いつでも寄付を受け付けています

NPO法人マザーズドリームでは、いつでも寄付を受け付けています

NPO法人マザーズドリームの活動にご協力ください。