このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
弱ってきた事業は厳格、かつドライな基準で選別する 小堀秀毅(旭化成会長)
1.危機下で低抗力を高めるには、多角化を通じたリスク分散が一つの解になる。だが、いたずらに進めるだけでは経営資源が分散し、かじ取りが難しくなる。2022年5月に創業100周年を迎える旭化成。営業利益2131億円(22年3月期予想)のうち約1割に相当する200億円以上を稼ぐ事業が、サランラップを手掛ける「樹脂・繊維・ゴム」やヘーベルハウスの「住宅」など6事業もある。旭化成は、多数の柱を持ち、どこかの事業の調子が悪くても他の事業で挽回しやすい。
2.脈々と流れるのが、「先のトレンドをどんどん追いかける“進取の精神”。自社技術と外部から導入した技術を掛け合わせることで、幅が広がり新しい挑戦につながっていった」。4月1日に同社の会長となった小堀秀毅氏はこう解説する。野放図な膨張を防ぐことも欠かせない。規律を働かせるため、重視するのが新陳代謝だ。目下、15事業を「戦略再構築事業」と位置づけ、建て直しに取り組んでいる。
3.衰えてきた事業を早期に見極めないと、対処が遅れて余計な費用がかかる。その分、他の事業に割ける時間やお金は減る。事業間の連携と規律あるリスク管理が、異業種連合を束ねる秘訣と言えるだろう。
(参考:「日経ビジネス」2022年3月28日号)