このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
無限の経済成長の追求への批判にどう対応するか(その 1) フィリップ・コトラー (米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院名誉教授・マーケティングの大家として知られる)
1.産業革命が始まって以来、社会的な使命となったのが果てしない経済成長だった。どの国も国内総生産(GDP)の拡大を伝えたがってきた。経済成長によって働く人が健康を害しようと、また銃やたばこといった製品によって成長が導かれようと、問題ではなかった。経済の拡大の下、マーケティング担当者は成長の原動力となる重要な役割を担ってきた。
2.製品を無限に生産するだけでは不十分で、売れなければGDPにカウントされないからだ。マーケターは広告、販売担当者、プロモーション、価格設定などあらゆる手段を駆使して、製品を売ることに努めた。しかし近年、この無限の経済成長の追求に対する批判が起こっている。それは「資本主義が止まらない」ことによって天然資源が枯渇(こかつ)し土壌が悪化し、そして重要な鉱物が失われることではないかという批判であり、産業活動が公害を生み、大気や水を汚染しているのではないかという批判だ。 3.「無限の成長は地球の生存を脅かす」と非難する人も出てきている。サステナビリティー(持続可能性)という考え方の登場は、地球の存続に関わる問題を提起している。ハリケーンや洪水、山火事、土壌への影響が起き、人の衣食住への影響も深刻化する。
(参考:「日経ビジネス」2022 年 8 月 29 日号)