耳より情報2023年1月 No.345

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

 企業と社外取締役の理想の関係とは 江川 雅子(一ツ橋大学大学院教授等を経て学校法人「成蹊学園」学園長)

1.社外取締役のあるべき姿は、執行側幹部のパートナーとして、力を合わせて企業価値の向上を目指すこと。孤独な社長が信頼を寄せるアドバイザーのイメージだ。ただ社長に大きな問題がある場合、退任を迫る必要があるかもしれない。また重大なコンプライアンス事案で意見の相違があれば、自ら辞任することでシグナルを送る必要もある。こうした行動を含め、本当の意味で経営にコミットすることが大切だ。

 2.会社について理解していないと実質的なアドバイスや経営の監督ができない。海外では社外取締役に対し、社員と同じ水準の社内情報へのアクセス権を与えつつ、取締役会で付加価値のある助言や質問を求める企業がある。会社に女性社員との対話を求められることも多いが、社内の文化を知る重要なチャンスと考える。

3.海外では、投資家らが社外取締役として積極的に経営戦略の立案などにかかわる「ボード3.0」の考え方が出てきた。社外取締役が戦略の策定や企業価値の向上にもっと貢献すべきだという点では賛成だが、投資家以外のステークホルダーや環境に対する配慮は欠かせない。長期的に、サステナブルに企業が発展することを考えるのが社外取締役の課題なので、短期的な利益のみに偏ってしまうのは問題だ。

(参考:日経ビジネス」2022 年 10 月 7 日号)

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