このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
傑出した技術力を最初から持つ会社などない 稲盛 和夫(京セラ創業者 22 年 8 月、90 歳で逝去)
1.京セラは、ファインセラミックスという新しい素材をいち早く取り扱い、従来は工業用材料となり得なかったファインセラミックスを工業用材料として確立させ、さらに何兆円という規模を持つ産業分野として成長せしめた、いわゆるパイオニア企業と言っていいかと思います。多くの人々は京セラの技術開発力にあると考えています。
2.しかし、傑出した技術力を最初から持っている中小企業など、ひとつもないはずです。常に創造的な仕事を心がけ、今日より明日、明日より明後日と改良改善をしているかどうかで、独創的な経営ができるかどうかが決まってくるのです。新しい開発をするには、「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」ことが必要です。 3.まず、「こういうものをやりたい」と思うときは、楽観的に考えるのです。「それは難しい、それは困難だ」と悲観的に考えてはいけません。しかし、実際に具体的な開発計画を立てるときには、厳しい現実を直視し、開発のどこが難しいのかを認識して、悲観的になるべきです。そのうえで、「よし、これでやろう」と開発を始めたときには、難しいことは考えず、「絶対やれるはずだ」と非常に楽観的に進めていくことが、開発をするときの心構えです。
(参考:「日経ビジネス」2022 年 11 月 28 日号)