このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
底なし沼から抜け出せない日本 佐々木 融 (JPモルガン・チェース銀行市場調査本部長)
1.日本はエネルギーや食品の多くを輸入に頼っている。 円安が続けば国内の物価は全体的に上昇圧力を受ける。その物価の上昇を抑えるために政府が支出をするので、日銀が金融政策を正常化できない。すると他国が利上げ局面にあるか、または金利を高水準に維持している限り、円安は続く。円安が続けば国内の物価は上昇圧力を 受ける。
2.日本は以前からこうした底なし沼にはまっていたとも考えられる。これまで世界的にディスインフレ状態が続き、金利水準も低かったため、底がないことに気づけなかった。しかし、世界は以前のようなディスインフレには戻らず、インフレ率高騰(こうとう)はピークアウトしたとしても、比較的高水準のインフレ率・金利が続くだろう。沼の底は簡単には戻ってこないだろう。
(参考:「週刊東洋経済」2022 年 11 月 26 日号)