このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
「稼ぐ・削る・防ぐ」をやるのが会社経営 川村隆(日立製作所元会長・7873 億円の巨額赤字後社長に就任。読書を中心とした「一俗六仙」生活を送る)
1.「稼ぐ、削る、防ぐ」をやっていくのが会社経営だ。日立全体が沈まないように私は悪いグループ会社をいくつも潰した。ただ、1 万人が働く工場がなくなると、その町のタクシー運転手も弁当屋も全部潰れてしまう。それをやったほうがいいのかそうとう悩んだ。
2.論語には「夫子(ふうし)(孔子のこと)の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ」という一節がある。「忠」とは、これをやるべきだと思ったことに全力投球すべしという意味。「恕」というのは思いやりのことだ。孔子は1 つだけやらなければいけないものは何かと弟子に問われ、「其れ恕か」と答えた。忠は言わなかった。
3,会社の諸先輩方も怒鳴り込んできたが、孔子の教えの「恕」に逆らって、日立の新しい仕事をつくるためにその会社は潰した。孔子が言う「忠」は、日立の創業理念の1 つ「積極進取の開拓者精神」に通じる。これが廃れて当時の日立は危機に陥ったし、今の日本企業は世界で埋没している。
(参考:「週刊東洋経済」2022 年12 月10 日号)