このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
「お天道様」は見ている 横田 南嶺(臨済宗円覚寺派管長)
1.かつて日本人は、お天道様が見ているという言葉を使っていた。「天道」は「てんとう」と詠んで、「天地を主宰する神」をいう。こんな言葉もこの頃あまり耳にしなくなった。悪いことをしようが、よいことをしようが、それは皆お天道様が見ているのだと謙虚な気持ちで生きていたのである。「お天道様」という言葉は死語になりつつあるが、ネットや監視カメラというもので新たにいつも見られている世の中になっている。
2.そんな監視社会の中で生きるにはどうしたらいいのであろうか。いかに監視の目をくぐり抜けようとしても困難であろう。結論は「よく生きる」しかないと思われる。「よく生きる」ということはどういうことであろうか。ブッタは2500 年前のインドで「自分の行動のすべてが記録されていて、必ずその報いを受けねばならないという世界」、いまこの監視社会で生きることは苦しみでしかないとみた。
(参考:「致知」2023 年7 月号)