このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
この現状といかに向き合うべきかを自問する數土文夫(JFEホールディングス名誉顧問)
1.内村鑑三が世界に紹介した代表的日本人は、上杉鷹山(ようざん)、西郷隆盛、二宮尊徳(そんとく)、中江藤樹(とうじゅ)、日蓮(にちれん)の計五人です。なぜ彼らが選ばれたのか。内村の念頭には四聖、つまり釈迦(しゃか)、キリスト、孔子、ソクラテスの姿があったのではないかと私は考えます。内村の選んだ五人はいずれも私利私欲から離れ、自ら悟った大命に従い生涯にわたり道を追い求めました。そして「論語」を熟読し、一様に仁の人でした。彼らこそは、まさしく人間のあり方を説いた四聖の理想に適(かな)う人物といえます。
2.失われた三十年に生きる現代の日本人は改めて内村鑑三の「代表的日本人」を読み直し、この現状といかに向き合うべきかを自問してみてはいかがでしょうか。
(参考:「致知」2023 年8 月号)