このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
至誠の境地に立てば 田口佳史(東洋思想研究家)
1.「至誠(しせい)」とは何か。至誠という境地に立てば、何事もその事が起こる前に、何がどの様に起こるかを、予(あらかじ)め知ることができるといいます。国家が隆盛になる前には、必ずおめでたいことが前兆としてあり、衰亡(すいぼう)する前には、必ず禍(わざわい)の前兆があるものです。それは占いにあらわれたり、重要人物の行いにあらわれたりするものです。
2.そこで至誠の人は、禍福(かふく)が起こる前に、善のこと、不善のことを、必ず前もって見抜いて、禍福の来るのを察知し、戒めることができるのです。このように、至誠の境地というものは、普通の人間ではとても知り得ない、見抜けないところを見ることができるのですから、まるで神のようなものだ、といっているのです。
(参考:「致知」2023 年11 月号)