このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
イノベーションを起こすためには「変化の常態化」が必要 入山 章栄(早稲田大学ビジネススクール教授)
1.そもそも知の探索は、経営学でイノベーションを起こす基本原理としてよく知られる概念です。イノベーションは、既存知と別の既存知の組み合わせから生まれますが、人の認知には限界があるため、自然に任せていると、新しい知を得ることは難しいものです。なるべく自分から遠く離れた場所にある知を幅広く知り、組み合わせる知の探索が重要です。
2.私が最近、講演でよく触れるキーワードに「経路依存性」があります。これは、制度や仕組みが過去の歴史や経緯などに縛られ、固定化されてしまう現象を示す言葉です。イノベーションを起こす組織であるためには、この経路依存性からの脱却が欠かせません。
3.イノベーションには、変化を常態化させることが重要です。人間の行動に占める習慣の割合は意外と大きいもの。この習慣を変えることが変化を生み出すきっかけになります。そして企業文化とは醸成されるものではなく、意図的に作るものであり、いわば企業戦略であるというのが私の考えです。
(参考:「日経ビジネス」2023 年10 月2 日号)