このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
日本企業のガバナンスとコンプライアンスの意識は低い 高岡 浩三(元ネスレ日本社長・現ケイアンドカンパニー社長)
1. 今回のジャニーズ問題は、日本企業がガバナンス不全に陥っていることを改めて示したということに尽きます。昔、雪印乳業(現雪印メグミルク)による集団食中毒事件というものがありました。事件を取材する記者に対し、当時の社長が「私は寝ていないんだよ」と発言したことで、世論から批判を浴びました。これで巨大企業がつぶれることになったのです。
2. 一般的に社長の任期は短く、社外取締役には経営を監視できるほど知見を持った人もほとんどいません。何が言いたいかと言うと、日本ではガバナンスとコンプライアンスをちゃんと理解しているプロの経営者がいないということです。
3. 今回のジャニーズ問題と、中古車販売のビッグモーターと損害保険ジャパンのなれ合いは同じ構図だと思います。損保ジャパンから何人もビッグモーターに出向していました、不正も知っていたはずです。「見て見ぬふり」をしてきたのが実態といえます。それでも経営トップが「知りませんでした」と言ってしまうところに、日本企業のガバナンスやコンプライアンスの意識の低さが見て取れます。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2023年11月18日号)