このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。
企業の強さの源泉はその企業が持つ文化 高橋 秀仁(レゾナック「旧昭和電工と旧日立化成」HD 社長)
1. 昨年、私は国内の事業所など70 カ所を回って61 回、タウンホールミーティングを開き、毎回10~20 人の従業員が参加するラウンドテーブルを110 回やりました。これだけで計150 日くらいかかったけど、絶対に必要だと考えたからです。事業ポートフォリオは作り替えたから終わりというわけではありません。この会社は何をするところかというパーパス(目標)と、社員の皆さんには何をバリュー(価値観)にしてもらいたいかを理解・実践してもらうことこそが大事だと思っています。
2. 「売られた会社」と「買った会社」を分けて考えても仕方ありません。企業の強さの源泉は、その企業が持つ文化です。片方の企業のものを生かすのではなく、統合する時には新しいものをつくる方が力になるはずです。当社は「化学の力で社会を変える」がパーパスで、重要な価値観は「プロとしての成果へのこだわり」「機敏さと柔軟性」「枠を超えるオープンマインド」「先見性と高い倫理観」としています。
3. 半導体関連で言えば、旧昭和電工は川上側の素材に強く、旧日立化成は素材を使って研磨剤などの製品を作る川下側が得意でした。事業ポートフォリオは、すぐに陳腐化するいわばコモディティーです。でもそれを変えられないのは、新しいものを創造する力と実行力がないからです。経営者が覚悟を持って実行するためにも企業文化は大事です。
(参考:「日経ビジネス」2023 年11 月6 日号)