耳より情報2024年2月 No.543

このコーナーは、代表理事・牧原が読んだ本や拝聴した講演会などから、印象に残ったものをピックアップしてお届けします。古今東西の耳より情報をどうぞ受け取ってください。

日本における正社員と非正規の格差は「身分差別」に等しい  橘 玲(作家・「上級国民・下級国民」等著者) 

1.日本的雇用慣行は日本の伝統ではなく、戦後に米国に倣(なら)って導入されたものです。それが不安感の強い日本人に合っていたのでしょうが、現状の機能不全や身分差別の問題を考えれば、解雇規制もグローバルスタンダードに収斂(しゅうれん)していくことは避けられないでしょう。これからは日本も、非正規だから、女性だから、外国人だからといった合理的に説明できない理由で人事評価をしたり待遇に差をつけたりすれば、差別として厳しく罰せられるリベラルな社会になっていくでしょう。 

2.そうなるとサラリーマンも、成果主義で評価されるのが当たり前になっていく。日本では嫌われている成果主義ですが、64 年に公民権法が成立し、人種差別が違法になった米国で、試行錯誤を経て生み出された人事制度です。差別だと訴えられないようにするには、資格や実績だけで評価するしかないのです。 

3.ただ、あらゆる差別がなくなった社会は必ずしも理想郷ではありません。差別のない公正な社会では、収入や資産の格差は全て自己責任になります。才能のある者にとってはユートピアでしょうが、働く機会が得られず、所得も低く結婚することもできず、社会から排除されたとしても、誰からも同情されず、人生の結果は全て個人で引き受けるしかない。完全なリベラルな社会はディストピアになるかもしれません。 

(参考:「週刊ダイヤモンド」2023 年11 月25 日号) 

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