1.日本社会はこれまで、「空気を読む」ことが必要な能力だった。そんな組織内で出世してきた日本の社長は、社員が「思ったことを言う」なんて、とても許容できない。だって、自分は言いたいことを堪えて出世してきたわけだから、そうしているうちに「やりたいこと」が分からなくなっていく。だが、もう限界だ。「本当のことを言わない」という企業社会の暗黙のルールが、今日、巨大な不祥事として露呈しているからだ。
2.つまり、今起きている巨大な企業不祥事は、もとを正せば、すべて「こうやるべきだ」と言えない人々の集団が引き起こしている。つまり、電通もビッグモーターもジャニーズ(とテレビ局)も、現場が「やるべきこと」を考え、実行していれば起きえなかった事件なのだ。だが、長年の慣行が、とんでもない企業体質と業界慣行を築いてしまった。
(参考:「週刊東洋経済」2023 年12 月23 日・30 日号)