凋落の歴史から一転空前の狂乱投資(半導体産業)

1.2024 年の世界の半導体市場は、過去最高の5883 億ドル(約87 兆円)に到達する見通しだ。かつて産業のコメと呼ばれた半導体は、国家の競争力や安全保障をも左右する「戦略物資」となった。昨今の生成AI(人工知能)サービスの爆発的拡大や、地政学リスクのさらなる高まりから、主要国による半導体投資競争は熾烈化している。さながら国家ぐるみの覇権戦争の様相だ。 

2.気が付けば、21~23 年度の3 年で、日本政府が半導体に確保した金額は約4 兆円に及ぶ。すでに2 兆円が投下されており、米国や欧州と比べても、日本の半導体政策は異次元の金額規模とスピードで進められているといってもよい。足元でも、世界最大ファウンドリーである台湾TSMC の熊本第2 工場建設や、国策会社ラピダスの追加計画、ローム・東芝連合に続くパワー半導体の再編、NTT が主導する「光の半導体(光電融合技術)」など、重要プロジェクトがめじろ押し。 

3.投資のペースが多少緩んだとしても、30 年までに12 兆円超の官民投資を行い、日本の半導体売上高を15 兆円(20 年比3 倍)にする計画だ。日米半導体摩擦から40 年、世界一の座から陥落した国内半導体産業は、凋落の歴史から一転、空前の狂乱投資に沸いている。

(参考:「週刊ダイヤモンド」2024 年2 月24 日号) 

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