1.一時は世界シェアで50%以上を占めていた日本の半導体産業がリードを保てなかった理由は何か。凋落(ちょうらく)した要因は二つある。1 点目はパソコンやスマートフォンといった家電製品の花形の変化の潮流を見落としたこと。そして2 点目はビジネスモデルの変化についていけなかったことだ。半導体が高性能化するにつれ、半導体の設計・開発や製造と、海外メーカーは自らの得意分野に特化していった。
2.その筆頭格が画像処理装置(GPU)の開発に特化したエヌビディアであり、製造に特化して半導体工場の王者となった台湾TSMC である。一方、日本は設計から製造まで一貫して手掛ける垂直統合モデルが主流だった。
3.これは多くの日系半導体メーカーが、自社の家電部門向けの半導体を中心に手掛けていたことに由来する。そして企業の一部門であった故に、膨らんでいく半導体工場への投資に二の足を踏むようになり、新市場の開拓にも出遅れた。企業の成長には、優良顧客の確保が欠かせない。そして、日本には半導体の強い買い手がいない。
(参考:「週刊ダイヤモンド」2024 年3 月9 日号)